“同窓生と大学の話をすると、一気に距離が縮まる”(濱二)
―昨年、田中さんが明海大学にマスクを2万枚を寄贈されたことは大学関係者間で話題になりました。
田中俊裕(以下:田中) 当初は弊社で販売する予定だったマスク100万円相当の納品が遅れたのが発端でした。時期を逸したため、病院や地方自治体に寄付しようと思いましたが、手続きが煩雑で。その時、ぜひ母校に、と思いついたんです。
濱二秀昭(以下:濱二) 社会人としてキャリアを積んできたなかで、自分の得意分野を生かして大学の力になりたいという気持ちは自分にもあります。僕が担当していたラジオ番組『明日の音楽』(bayfm)と明海祭のコラボレーションも、何か力になれることはないかと大学側にメールしたことがきっかけでした。
田中 大学に貢献したいと思う人が集まっているのが同窓会ですよね。今の同窓会についてはどう思われますか?
濱二 学生からプランを募り、優秀なものには100万円を支援しようという「夢プロジェクト」などはとても面白いですよね。学生に挑戦の機会を与えるのはとても大事だと思います。卒業生としては、在学生に”この大学に入ってよかった”と思ってほしいものです。
田中 学生にとっては良い経験になりますよね。同窓会という組織は、潜在能力がとても高いと思っています。在学生と卒業生のハブになれるし、卒業生同士のハブにもなれる。そこで新しいビジネスが生まれて、明海大学のブランディングにつながる可能性を秘めています。
濱二 同じキャンパスを巣立ったもの同士は世代が異なれど、親近感が湧きます。マスメディアの仕事は相手の心をいかに拓くかが勝負だったりします。以前、自分の番組に出演された方が明海大学の卒業生だと知り、大学の話をしてみたら、一気に距離が縮まり番組に熱が入ったのは印象的でした。
“在学生も卒業生も、大学にとっては宝なんです”(田中)
―お二人は同窓会の活動に関して積極的ですが、一般の方にも興味を持ってもらうにはどうしたらいいでしょうか。
田中 そこは自然に関心が高まるのを待つほかないのではないでしょうか。たとえばビジネス交流会や異業種交流会といった形にしてしまうと、かえって参加しにくい人も出てきてしまいます。それよりも人と人をつなげるのが大事で、仕事でもプライベートでも、何かやろうとしたときに同窓生間で「もしかしたらこれはあの人とできるんじゃないか」と選択肢が増えるといいなと思いますよ。在学生も卒業生も、大学にとっては宝。”起業するなら明海”とか、ブランディングができたら大成功ですよね。
濱二 ブランディングというと、僕はメディアの仕事をしているから、やはりスポンサードについて考えます。ここ最近、音声メディアが再注目を浴びているのですが、突き抜けているものってまだあまりない。そんななか、大学が効果的な宣伝を打ってたら、じわりと効果が出てくるのではと思っています。明海大学がまだあまり「色」がついていないこともブランディングには好材料だと感じています。
田中 面白いですね。ぜひ大学に提案してみましょうよ。実はごく最近、ご縁があって同窓会に理事として加わる機会をいただき、運営に携わっています。より広がりのある”進化型の同窓会”とでもいいましょうか……、新しい風を吹かせたいという気持ちで取り組んでいます。
濱二 そう、僕も同窓会の活動をしたかったけれど、ツテがなくてどうしたらいいのかわからなかった。普通に社会人生活を送っていると、同窓会との接点が薄いかっもしれません。そこは改善が必要かもしれないですよね。田中さんが言うように、オン/オフ問わず、同窓会の仲間と連絡を取って一緒に何かできたらこんなに楽しいことはないと思います。
田中 大学時代を振り返ってみると、講義室には本当にいろんな学生がいましたよね。熱心にサークルに打ち込んでいる人、クリエイティブな活動をしている人、ぶっ飛んでバカやっていた人も(笑)。そういう人に刺激を受けてきたし、同じ場所で青春を過ごした仲間って、今の自分にとって宝だなと思いますよ。
濱二 本当にそうですよね。僕も、同窓生の中にいた一部のエネルギッシュな人と付き合って楽しかったし、今でも連絡を取っていますよ。ただ、僕たち二人は大学に割と熱い想いを抱いていますが、同じ想いをみんなに共有してほしいというわけではないんです。これはあるアーティストの話なんですが、ご自身が明海大学出身というのは、いろんな事情で伏せられていたんですね。でも明海大学の在学生と触れ合う機会があったり、さまざまなきっかけがあり、出身大学をオープンにされたんです。それが僕としてはとても嬉しくて。明海大学は学生数も少ないし卒業生もそんなにいないから、同じ大学ということがわかると一気に距離が縮まるわけです。
田中 それは嬉しいですよね。卒業生に魅力的な人がいれば、ポテンシャルのある学生がどんどん大学へ入ってくるでしょう。それがさらに良い循環を生み、明海大学のブランディングにつながります。社会人になって同じ大学の卒業生に会うと嬉しいものです。長い人生のなかで、ふと大学の仲間は何しているかな、また話したいなと思い立ったとき、同窓会がサポートできるといいなと思っています。
PROFILE
2012年度 経済学部卒
田中俊裕 Toshihiro Tanaka
株式会社KNOCKIT代表。1990年東京都出身。明海大学経済学部卒。営業代行を経験した後に25歳で起業。販売コンサルタント、イベント企画運営、労働者派遣事業など幅広く事業を展開する。在学中は、中央委員会副会長、体育連盟会会長、学生ボランティア団体V5会長などを歴任。
1997年度 経済学部卒
濱二秀昭 Hideaki Hamani
株式会社OFFICE THE BUNGY代表。1974年東京都出身。明海大学経済学部卒業後、ラジオ番組制作会社に勤務、フリーランスを経て現職。現在はテレビ番組などの映像プロデュース、キャスティング、企画を手がける。在学中には自ら野球チームを組織し、運営に携わった