“母校が輝き続けるよう手を取り合いましょう”(中村)
―これまでは歯学部同窓会と浦安キャンパス同窓会は個別に活動をしてきたなかで、連携をスタートされるわけですが、その経緯はどういったものだったのでしょうか?
中村 きっかけは明海大学浦安キャンパス同窓会25周年記念式典ですから2017年のことです。ご招待いただいた会場で、北原会長のスピーチを拝聴しました。スピーチのなかで同窓会が大学の魅力を高めるための「ブランディングサポート」という活動をしていることを知り、その柔軟な発想と行動力に驚かされたものです。その場で「ぜひ一緒に何かしましょう」と北原会長へお声がけしました。
北原 あの時のことは今も鮮明に覚えています。大先輩である中村会長にありがたいお言葉をいただき、ただただ嬉しかったです。50周年を目前にする歴史ある歯学部同窓会と比べれば、浦安キャンパス同窓会はまだまだよちよち歩きだと感じていました。本来であればこちらからお声がけするべきところだったのですが、自らの同窓会を運営するだけで手一杯ということもあり、二の足を踏んでいたところだったんです。だからこそ、二つ返事でご一緒したい旨をお伝えしました。
―2つの同窓会が手を取り合っていくこととなりますが、同窓会とはどのような存在であると考えていますか?
北原 大学では困難なことを推進することができる組織であると考えています。運営の自由度が高いので、新たな動きが取り易いです。その目的は、大学を輝かせることです。大学が輝くことで、卒業生も輝くという良いサイクルが生まれると思っています。
中村 大学を輝かせる、素晴らしい考えですね。同窓会の根幹は同窓生たちの親睦の場。歯学部の場合は専門性が高いので、卒業後もつながりあうことでのメリットが多いと言えます。他大学の方とは話しづらいことも、ざっくばらんに語り合えるのは同窓生同士ならではです。
北原 専門性の高さと卒業後の職種が同じであることは歯学部同窓会ならではですね。浦安キャンパスは学科が多岐にわたるので、統一感を生むことが同窓会の役割とも言えます。ブランディングサポート事業として展開している「夢プロジェクト」もまさに学科の垣根をまたいで同じ目標にチャレンジできるものです。
中村 学生が描く夢を同窓会がサポートする事業ですね。
北原 はい。年に1回、学生が自らの夢を企画書にまとめてプレゼンし、厳正な審査を経て100万円を上限にサポートしています。100万円というキャッチーさに年々挑戦する学生が増えています。しかし、このプロジェクトの本質は、その金額だけではないんです。夢を描きづらいこの時代に、メンバーを集め、堂々と自分の夢を語る場、そしてその夢を叶えるためのアドバイスを提供しています。つまり、同窓生が学生の夢に寄り添ってあげるんです。そうしたリソースの提供を含めた現役生と卒業生の交流を生んでいます。歯学部同窓会では、学生との交流はありますか?
中村 「ホワイトコートセレモニー」ですね。大学での学びから病院での現場実習に入る5年生にホワイトコート(ジャケット)を授与するセレモニーを開催しています。そのコートは同窓会が寄贈しています。近年、歯科医師国家試験は合格者の定員を絞っているため、歯科医師への道は狭き門となっています。そうしたなかで、試験を目前とする学生にさらに意識を高めてもらう、奮起してもらうためのセレモニーとなっています。
“自分の子どもに勧めたい大学にしたいですね”(北原)
―それぞれの同窓会が各々のキャンパスの特性に合わせた活動をされているのですね。今後、同窓会が連携することでどういった展開が期待できるのでしょうか?
中村 もっとも期待するのは、浦安キャンパス同窓会のみなさんの柔軟な発想を取り入れることですね。歯学部はその専門性から、往々にして視野が狭まりがちです。連携により、時代の多様性に即した活動をしていきたいですね。
北原 いえいえ、学ぶのはこちらの方です。歯学部同窓会には歴史と知見があります。われわれの発想を実現させるために、先輩方のアドバイスをいただくことで、安心して運営ができると期待しています。なにより、2019年に浦安キャンパスで新設した保健医療学部口腔保健学科の卒業生は、歯学部卒業生とのかかわりが必須だと思っています。
中村 そうですね。浦安キャンパスを巣立つ歯科衛生士の方々は、坂戸から生まれる歯科医師と繋がることは有意義ですね。
北原 ぜひ関わり合いの場を設けましょう。堅苦しいものではなく、スポーツでの対抗戦など学生が取り組みやすいアプローチも良さそうですね。
中村 やはり発想が柔軟ですね。連携の強化は早いに越したことはありませんね。我々歯学部同窓会には日本全国に支部がありますから、同窓会の連携においてもぜひ有効活用したいものです。
北原 浦安キャンパス同窓会は、「地域」という軸での活動がまだまだ不十分ですので、歯学部同窓会が築き上げた支部ネットワークとも連携したいです。
中村 夢が広がりますね。この度スタートする連携により、母校が永遠に輝ける大学であり続けるよう、しっかりと協力していきましょう!
PROFILE
明海大学キャンパス同窓会
会長 北原 淳 Jun Kitahara
1968年生まれ。明海大学卒業後、明海大学事務局勤務。その後、順天堂大学大学院でスポーツマーケティングを専攻し、修士号(スポーツ健康科学)取得。日本プロサーフィン連盟事務局長、(株)枻出版社を経て、コンテンツミックスによるイベントプロデュースや地域ブランディングを主軸とする(株)スケッチブックを立ち上げる。2004年より明海大学浦安キャンパス同窓会長。
明海大学歯学部同窓会
会長 中村睦夫 Chikao Nakamura
1947年生まれ。城西歯科大学(現・明海大学歯学部)を卒業後、1981年に中村歯科医院(岡山県玉野市)を開設。1994年、博士号(歯学)を取得。明海大学客員講師、日本歯科医師連盟委員、岡山県歯科医師会理事など幅広い領域にて要職を歴任。2015年より明海大学歯学部同窓会長を務める。